口伝で代々受け継がれる宮大工の木材の使い方を、素人でも分かる図と文でまとめた一冊。
はじめて出版されたのは10年ほど前の2010年。まだそれほどDIYが流行っていませんでしたが、今はどうでしょう? この本を読んだ後は、木材の見え方が以前とは違うものになるのではないでしょうか。
著者はこんな人
塩野米松は小説家であると同時に、衰退していく日本の文化や伝統技術の継承を文章化することに力を注いでいます。
1947年の秋田県角館生まれ。
読書メモ ~はじめて知ったこと~
・『経木』(きょうぎ):紙のように薄く切った木材。紙が貴重だったころに紙の代わりに使われていた。お経を紙の代わりに経木に写経していたから付けられた名前。おにぎりを包むのにも使われていた。
・『背割り』:芯持ちの木材が乾燥してくるにつれ割れるので、あらかじめ割っておくこと。
・『水中貯水』:山や外国から運ばれる木が加工前に乾燥で求めない形で割れないよう、水につけておくこと。5年くらい漬けておくと、伐採したものをそのまま乾燥するより、不思議と乾燥が早いそう。
・『竹の代わりにイタヤカエデを編む』
かごや、ざる使う便利な素材の竹。温暖な土地に育つので、寒い地方でどうするのかと思っていましたが、秋田屋山形ではイタヤカエデやヤマウルシを割いて使うそう。太さ4~5センチのものを先(梢の方)から割ります。年輪に沿って細かく割れます。
「木元竹裏」と言う言葉があり、意味は:割れやすいのは、木は根元から、竹は裏(梢の方)から。
けれども、職業や地方によって考え方が違うようで、『細い方から太い方へ割る』という考え方もあります。
・樹液について
春先に採取するメイプルシロップ。シロップが出るのがシュガーメイプル、イタヤカエデも実は少し甘く、小鳥が舐めに来ることもあるそう。(『樹液の話』)
ゴムの木の樹液はゴムになります。チューインガムはゴムの木の仲間のサポディラの樹液のチクルを材料にしています。
6月から10月にかけて採取する漆。
読んだきっかけ
父の書斎に置いてありました。ただそれだけ
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